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平野貞夫の「永田町漂流記」より── 巨大メディアの「小沢排除」が国を滅ぼす 《TheJournalより転載》

THE JOURNALより平野貞夫の「永田町漂流記」
「日本一新運動」の原点(69)── 巨大メディアの「小沢排除」が国を滅ぼす

 8月9日(火)、菅首相が国会の答弁で、ようやく退陣の段取りについて発言して、この後に想定外のアクシデントがなければ、8月中には辞めることになる。それに合わせるように、民主党の岡田幹事長は、政権交代マニフェストの基本部分を自民党と公明党の要求を丸のみして修正・見直すとした。事実上、菅首相を辞めさせるために民主党の心を売ったといえる。

 巨大メディアの関心が、後継代表選出に移った矢先、野田財務相が飛び出し、巨大メディアの太鼓たたきが始まった。おそらく背後には財務省があってのことだろう。何しろ「大増税」と「大連立」を、早々に打ち上げさせて世論づくりを始めたのだ。この流れでは、まともな代表選なんか期待できない。民主党は実質的には崩壊したといえるが、ここに至った原因やこれからの問題を整理しておきたい。

■小沢一郎に於ける政治理念の進化

 21世紀に生きる政治家がまず認識すべきことは、20世紀で謳歌してきた「資本主義」が、変質というよりも崩壊したことである。残念ながら、わが国の多くの政治家や有識者はこの認識に欠けている。これが混迷する日本が立ち上がることができない原因である。この基本的歴史認識が国民的に合意できれば、新しい日本を創ることができる。

 小沢一郎氏は平成元年(1989)、自民党海部政権の幹事長時代、米ソ冷戦の終結を体験して私にこういった。「誰もが資本主義が勝った。これで世界が繁栄して平和になると思っているが、僕はそうは思わない。ソ連の崩壊はパンドラの箱を開けたような混乱になる。過激な経済戦争で世界中に不公平が生まれ、それが原因で各地で紛争が多発する。大変なことになる」と。この予言は的中した。

 これが20数年前の自民党幹事長・小沢一郎の世界観だった。当時、こんな考えを持つ政治家は他にいなかった。「パンドラの箱」が開いた世界で日本はいかに生きるべきか。そこで小沢氏を中心に議論を行い「あらゆる技術の異常な進歩とグローバル化によって、これまでの資本主義が変質した。新しい資本主義、新しい人間社会を考えよう」ということになった。

 こういった歴史観にもとづいて、これまで日米安保条約に依存し、米ソ冷戦を利用して、わが国が生きてきた「一国平和主義・一国繁栄主義・一国民主主義」を反省する。そして、「自立・責任・共生」を国民のコンセンサスとし、国家運営の基本とすべきであるという、小沢一郎の政治理念が形成されていく。

 この理念にもとづき、平成5年に『日本改造計画』が刊行され、大ベストセラーとなった。自民党の政策として実現するつもりであったが、当時の自民党の大勢から反発をうけ、離党して「新生党」を結成することになる。平成5年8月に非自民細川連立政権の政治理念の主役となるが1年足らずで自民党が政権に復帰する。

 小沢一郎の「自立・責任・共生」の理念は「新進党」で議論され「日本再興のシナリオ」となり、そこには「人間の絆」が追加される。新進党が解党し「自由党」を結成した小沢一郎は、これまでの考え方を統合発展させ、人づくり基本法案をはじめとする「日本一新11基本法案」にまとめて国会に提出した。少数会派の自由党なるが故に、国会で議論されることなく廃案となった。

 平成15年に民主党と自由党が合併する。自由党は、政権交代という大義のために人事・政策などすべて民主党の方針を丸のみした。民主党には政治理念も基本政策もなく、政府権力に就きたい亡者、既得権を維持し特定の政策しか考えない労組出身者、自民党の長老より悪い不良政治家、市民運動の美名に隠れた過激派などの溜り場であった。

 平成18年の通常国会での偽メール事件で民主党の体質が国民に知られ、それを立ち直らせたのは小沢一郎が民主党代表に就任してからであった。小沢代表は、自己の利益しか頭にない民主党の亡者たちをどうにかまとめ、「国民の生活が第一」という政治目標のもと、「逆転の夏」と銘打った平成十九年の参議院選挙で勝利を得たのである。そして、自民党に代わる政権交代を国民に期待させ、2年前の夏の総選挙でそれが現実となったのだ。

■何故、小沢一郎を排除しようとするのか

 小沢氏は「国民の生活が第一」という政治目標を達成するために、「共に生き共に幸せになる」という「共生社会」を創ろうと呼びかけている。そこで「自立・責任・共生」という理念を実現しようとしたが、民主党の党是にできない宿命があった。それは雑居政党民主党にとって、この理念を持てば、自分の否定になる政治家が多勢いるからだ。

 問題はそれだけではない。わが国では巨大メディアや官僚など既得権で生きる人たちが「小沢排除」こそが自分たちが生き延びる条件だと思っているのだ。世界は1980年代から激しい情報革命が起こり、巨大メディアがかつてのように社会の木鐸として機能しなくなった。21世紀となり、慢性的不況で民間の広告収入が減った巨大メディアは、税金を使う政府広報に依存するようになった。小泉政権での「裁判員制度」、菅政権の「納税者背番号制度」などがその一例だ。

 さらに情報社会化の進展に応じて必要となる改革が、巨大メディアの収益を減らしていく。自己改革を怠った日本の巨大メディアにとって、小沢氏が改革しようとする記者クラブ制の廃止、クロスオーナー・シップ(新聞社とテレビ会社の株の持ち合い)禁止、電波料金のオークション制の導入などは、健全な情報社会のために絶対必要なことである。それを断行されると経営に大きな支障が出る巨大メディアは、小沢一郎なら実現すると恐れおののいている。かつて私は複数の巨大メディアのオーナーから「小沢から離れて我々の味方になれ」と口説かれたことがあり、その子細は昨年のメルマガにも書いている。

 小沢一郎にとって「自立・責任・共生」の政治理念を実現するためには、巨大メディア改革が欠かせない。本来ならメディアが先んじて新しい日本社会の建設理念を提起すべきであるが、20世紀資本主義の影を慕い経営を変えようとしない。この巨大メディアと政権交代を阻止したい麻生自民党政権が、検察権力の悪質な部分とコラボレーションして行われたのが、小沢一郎を政界から排除するための「西松事件と陸山会事件の捏造」であった。

 二つの事件が手続的にはともかく、実質的には菅・岡田民主党も絡んだ政治的謀略であったことが、国民の目には明らかになった。残念なことには、巨大メディアがこれまでのことを反省するころか、ポスト菅の代表戦についても、「小沢排除」の再現を報道しはじめた。その一例が朝日新聞(8・11、東京版)の社説である。

「古い発想の旧リーダーが裏で糸を引き、代理戦争を演じたのでは、世代交代の意味がない。これまで党を引っ張ってきた菅・小沢両氏に鳩山由紀夫前首相の『トロイカ』は今回、行動を慎むべきだ」

 恐ろしい発想だ。この1年余、さんざん菅首相を煽ててきた朝日新聞の責任は大きい。性懲りもなく小沢一郎の政治理念と政策を拒否し続ける巨大メディア、中でも朝日新聞社説の姿勢が日本を滅亡の道へ向かわせていると私は思う。小沢一郎が掲げる政治理念のどこが古い発想か。自らの改革を怠る陳腐さを棚に挙げてよくいえたものだ。

 今の日本の政治家で、資本主義の変質と崩壊を認識しているのは小沢一郎氏しかいないことは縷々述べた。日本人の自立と責任の精神で共生社会を創るべく、「日本一新11基本法案」を策定した小沢一郎という政治家を、巨大メディアと民主党はいつまで「党員資格停止」のままにしておくのか。

 菅首相を筆頭に民主党執行部と、谷垣自民党総裁ら二大政党の指導者に問う。貴君らはこの国を何処へ向かわせようというのか。歴史観を持たない政治は衆愚に通じ、国を滅ぼす愚か者とのそしりが免れないことをもう一度指摘しておく。

投稿者: 平野貞夫 日時: 2011年8月18日 12:32



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