Sekilala&Zowie

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ジョセフ・ガーソン氏(2001・2002年) 第三次世界大戦の東アジア最前線 *転載

*転載


『Peacework』2001年12月・2002年1月号に掲載された論文
http://members.jcom.home.ne.jp/katori/gerson.html
(Joseph Gerson: The East Asian Front of World War �, 河内謙策訳)

第三次世界大戦の東アジア最前線
ジョセフ・ガーソン

 
そこでは物がバラバラになり
いたるところが満潮なのだ

―2001年9月11日に発売されたボブ・ディランのCD『愛と窃盗』より

 ニューヨーク発とかアフガニスタン発とかの記事があふれる下で暮らしていると、われわれの大半が世界的な混乱の根本的な再構築のことなど気にとめなくなってくる。また、われわれの関心が、タリバンの敗北や悪名高き戦争王がアメリカのロウ・テクやハイ・テクの爆撃に助けられて権力の座に復帰することに向けられることも理解できることである。しかし、戦争が核をもつパキスタンに波及する可能性があるということや、イスラエルとパレスチナの紛争がエスカレートする可能性があるということは、有りそうもないことについてわれわれがよく考え、それを防ぐ必要があることを示している。

一方、“ブッシュ・ドクトリン”という点からみれば、テロリストの滞在を認めていると言われている60か国に同ドクトリンの適用を認めるかどうかが問題になるであろう。

ブッシュ大統領は、第101空挺師団の兵たちに対して、そしてアメリカ人民に対して、「アフガニスタンは、テロリズムに対する戦争の端緒にすぎない」と叫んだ。コンドリーザ・ライス大統領補佐官は、サダム・フセインは「アフガニスタンで起きていることに無関心でいるべきではない」と明言した。スーダン、リビア、シリアとイランは、公然と「敵か味方か」と言われ、ブッシュのリストに載っている北朝鮮にもシグナルが送られたのである。

 ブッシュ・チェニー・ラムズフェルドの言う“新”新世界秩序は、核兵器の使用という点でも、背筋が寒くなるレトリックという点でも、気化爆弾の使用という点でも、女性や子供を単に付随的な被害と見るという点でも、むしろあの冷戦時代に似ている。“自由と法人民主主義のために”という論理も登場してきた。この論理は、広範な人民の動員、資源の誤った利用、二世紀前から始まった帝国主義的拡大戦略をおおいかくすためのものである。

 9月11日の無差別の犯罪的行為は、コーリン・パウエルの言を借りるならば、アメリカの外交・軍事政策の「リセット・ボタン」を押したのである。ブッシュ大統領の父親が冷戦後のアメリカの地球的規模の支配を統合するためにサダム・フセインのクウェート侵略を利用したのと同じように、ブッシュ政権は、ロシアやインドとのできたばかりの同盟を統合するために、EUや中国がアメリカのヘゲモニーを脅かさないようにするために、サウジ・アラビアやエジプトや他のアラブ諸国を手なずけておくために、軍事基地を石油の豊富な中央アジアに展開するために、アメリカと日本の軍事同盟を拡大強化するために、太平洋の支配を再統合するために、“テロリズムに対する戦争”を利用しているのである。

東アジア最前線

 10月初旬からブッシュ政権は、「ビン・ラディンとその一味は、彼らの活動を東アジアに拡大しようとしている、フィリピンやマレーシアやインドネシアだけではない。」と叫んできた。多数の軍事顧問が、30年間にわたるミンダナオ地域のイスラム分離主義者との戦争に参加するために派遣された。マレーシアとインドネシアのイスラム原理主義者を封じ込めるために、もっと手の込んだ策略が用いられている。北朝鮮と、当面は便宜上味方になっている中国は、警告を受けている。

 低強度紛争やアジア太平洋地域の危機管理におけるワシントンの役割の増大に間に合うように、ペンタゴンは9月30日に4年毎の国防計画見直しを発表した(新聞ではあまり注目されなかったが)。レーガンの時代と同様に見直しはアメリカの地球的規模の支配にとって重要な3つの地域を特定したが、東アジアは一番最初に取り上げられた。太平洋軍司令官デニス・C・ブレアの言によれば、もう一つの大きな変化は、「韓国を中心とした北東アジアとその他の地域が区別されていることである。このように韓国における抑止の問題以上にアジアが明示的に取り上げられたのは、今回が初めてである。」

フィリピン

 フィリピンでは、とろとろ煮えているような戦争が、アブサヤフ・グループとの間で行われてきた。アブサヤフ・グループはモロ民族解放戦線(MNLF)の分派であるが、そのリーダーは、アフガニスタンでソ連と戦ったと言われている。彼らは、1996年のマニラ政府とMNLFの協定を無視し、誘拐やテロ爆弾などの手段を使いながら分離のための闘争を続けている。ある政府高官の言によれば、アルカイダの「フィリピンのコネクションは、イスラムの学校や慈善事業を経営しているが、それらを通じて、数百万ドルのお金が東アジアや南アジアの彼らの同盟者に流れている」という。また、『ニューヨーク・タイムズ』が10月初旬に報道したところによれば、ワシントンは既に、ビン・ラディンと関係があるこのイスラム中枢を根絶やしにすることに取り掛かっているという。

 ワシントンの関心は新しいことではない。ムスリムの優勢なミンダナオにおいては、ワシントンやスペインやマニラの“キリスト教”軍隊によって完全に征服されたことは一度もないからである。しかも興味深いことには、フィリピンは、資源の豊富な南シナ海にまたがっており、中東と東アジアを結びつけるシーレーンの中に位置している。また、1990年代にアメリカの軍隊はフィリピンから締め出されていたので、ワシントンはミンダナオ南部に新しい巨大な海軍・空軍基地を作るために自分は表に出ることが出来ず、エージェントを使わなければならなかったという事情もある。

 ミンダナオの戦争とワシントンの関与は、ここ数週間の間にエスカレートした。マカパガル・アロヨフィリピン大統領は、矢継ぎ早に、フィリピン空港、そしてかつてのスービック海軍基地、クラーク空軍基地の提供をアメリカに申し出たのである。アブサヤフの戦士たちは、ミンダナオ商業地区におけるテロ攻撃の責任を追及されている。ワシントンは、フィリピンの軍隊を訓練するための軍事顧問の数を増大させること、ブッシュ大統領とラムズフェルド国防長官がマカパガル・アロヨと会談し、“アメリカ主導のテロリズムに対する戦争の第二の戦線”における米軍受け入れと援助のために1億ドルの援助を約束したことを発表した。そして、11月下旬に、ミンダナオ州知事でかつてMNLFのリーダーであったヌル・ミゾーリがフィリピン軍基地を襲撃して1996年の協定を反古にした。ミゾーリは国外に逃亡したが、まもなくマレーシアで逮捕された。

マレーシア

 セレベス海を越えてマレーシアの首相マハティール・モハメッドは、9月11日の事件の後、ワシントンとの関係を改善し、マレーシアのイスラム反対党の活動を制限しようとした。彼は、9月11日のテロを非難するだけでなく、ラマダンの直前まで米軍の爆撃を無条件に支持した。ワシントンとクアラルンプールの間での情報協力の中身は明らかになっていないが、ミゾーリの逃亡と逮捕の間にはほとんど間がなかった。

 国内の分野においては、マハティール首相は、彼の政敵であるイスラム教徒の裏をかき、世論をなだめるために予想外の行動をとった。彼は、エジプトの高名なアル・アザール大学の第一級の学者を、以前は世俗国家であったマレーシアがイスラム国家であることを証明するために招待したのである。この問題が彼に対する政治的打撃になるかもしれないので、ビン・ラディンの肖像などを振り回すマレーシアの支持者の不安と怒りを抑えるために、さらに多くのことがなされるであろう。

インドネシア

 メガワティ・スカルノプトリ大統領が「インドネシアは解体し、アジアのバルカンになるかもしれない」と警告したインドネシアにおいて、最大の賭けがなされようとしている。インドネシアは世界第4位の人口を持つ国家であり、世界最大のイスラム国家である。

 世界の石油資源をコントロールすることにかかわっているアメリカの指導者にとっては、インドネシアの豊富な資源よりも、インドネシアの戦略的な位置がより一層重要になっている。インドネシアの2つの大きな島の一つであるスマトラは、インド洋と南シナ海を結びつけるマラッカ海峡を支配する位置にあり、ペルシア湾と日本、南シナ海、中国と台湾経済のボトルネックとなっている。

 CIAに支援されてスカルノ大統領を追放した1965年のクーデタのあと、スハルトの独裁という形ではあったが、アメリカは、インドネシアの軍隊を通じて影響力を行使してきた(軍隊は最近まで同国の唯一の国家機関であった)。アメリカ議会はインドネシアにおける人権抑圧を批判しつづけ、その後97、98年にインドネシア経済が崩壊し、IMFの指示による災難、アメリカ大使館筋はスハルトの支持を継続したものの国際的に孤立し(アメリカ議会は、東チモールの虐殺にインドネシア軍がかかわっていることがわかってから、アメリカ=インドネシアの軍事関係について極めて厳しい態度をとってきた)、アメリカ=インドネシア関係は、どん底に行き着いた。アメリカ大使館の外でのデモとアメリカ国民に対する脅迫は日常的なものとなった。

 9月11日以前においても、新しく大統領となったメガワティ(かつて大統領であったスカルトの娘)は、ワシントンとの関係を何とか修復しようとした。それは、一つには軍隊にいた彼女の同盟者たちにアメリカの軍事援助がスムーズに行き渡るようにするためであった。しかし、この望みのためにワシントンと怒れる、飢えた人民との間で彼女の取りうる行動は限られたものだった。彼女がアメリカとの連帯を示威してワシントンから帰ってまもなく、副大統領は、9月11日の事件がアメリカの罪を清めることになるかもしれない、と語った。ワシントンからジャカルタに着任した悪評高い大使が、アメリカの大使館の襲撃を計画したり、あるいはインドネシアからアメリカ国民を一掃しようというイスラム派の闘士たちに対してインドネシアの軍隊が断固とした態度をとらない、と非難したので、事態が複雑なものになった。

 アルカイダの勢力がインドネシアで大きくなっているという証拠は、 街頭でオサマ・ビン・ラディンの写真を振り回すデモの隊列だけではない。新聞の報道しているところによれば、この7月にアフガニスタンの国民がモルッカ州都のアンボンにやってきて警察官やムスリムの闘士たちの暖かい歓迎を受け、島のキリスト教徒たちに対するジハードに参加したとのことである。

 一方、ペンタゴンは9月11日以来、“テロリズムに対する戦争”におけるインドネシア軍との密接な協力を模索している。アメリカ議会は、一方で援助を増やしながら、他方でインドネシア軍が“自己改造“しつつあるという証拠を要求している。

日 本

 何ら驚くことではないが、一方では日本の政府が憲法違反の軍隊・軍艦を戦時における軍の配置の限界を乗り越えてインド洋と南アジアに派遣しているにもかかわらず、他方でアメリカは国防計画の見直しにおいて日米軍事同盟が中心であると述べている。アメリカの軍事的植民地主義的支配に対する沖縄県民の数十年間にわたる抵抗にもかかわらず、見直しにおいては“沖縄は非常に重要なハブである”と述べられている。フィリピン、インドネシア、南シナ海に近いグアムもまたアメリカ空軍・海軍にとってハブである。アフガニスタンの戦争が独立し、パキスタンに対して戦争を拡大する場合には、ペンタゴンは航空母艦をもっとインド洋や西太平洋で使いたいと考えている。航空母艦は多数の改修された艦船とともに、いわゆるミサイル防衛のプラットフォームとなり、中国を脅すために取り囲むということになろう。

 ワールドトレードセンターとペンタゴンに対する襲撃は、剣によって生きるものは、剣によって亡ぶ、ということを思い起こさせることになった。“アメリカ帝国”に支配された世界では、経済的な不均衡がつのり、不正義が広がり、ついには人々が抵抗を始め、あるときには9月11日の事件のように思いもかけないことをしでかすようになるのである。

 もちろん代替策(オールタナティブ)は存在する。共通の安全保障、法の支配(世界法廷と国際刑事裁判所を含む)、文明間の対話、“グリーン”エネルギーと公共交通政策―それによって人間が他の人間を支配する必要が少なくなり、将来の人間とその他の命あるものの安全が約束されるであろう。

[以上]
*旧「加藤哲郎のネチズン・カレッジ」よりhttp://members.jcom.home.ne.jp/katori/imagine.html

*新「加藤哲郎のネチズン・カレッジ」http://www.ff.iij4u.or.jp/~katote/Home.shtml
*加藤哲郎氏wikipediahttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A0%E8%97%A4%E5%93%B2%E9%83%8E_(%E5%AD%A6%E8%80%85)


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