Sekilala&Zowie

No one is free, even the birds are chained to the sky.


【TPPに反対する】京都大学法学部出身農学博士で元農水副大臣の篠原孝衆議院議員のブログ「しのはら孝blog」より転載 《TPPシリーズ7~9》「経済的メリットが小さすぎて出せなかった経産省」

【TPPに反対する】京都大学法学部出身農学博士で元農水副大臣の篠原孝衆議院議員のブログ「しのはら孝blog」より転載
《TPPシリーズ7~9》


TPPシリーズ7.TPPで米の輸出という矛盾-11.11.6
http://www.shinohara21.com/blog/archives/2011/11/11116.html
 連日TPPの議論が白熱している。そんな中、よく繰り広げられる、農業を強化して輸出産業として位置づけるという、耳障りよいことこの上ない主張。今回は、この矛盾に切り込みたいと思う。

<楽観的すぎる農業とTPPの両立、TPP農業刺激活性化論>
 TPP推進論者が決まって言うことに、TPPを機に日本の農業を輸出産業にすべきというものがある。曰く、「日本の農業は大切であるが、現在の農業の現状は、減反し小規模零細農家も多く、競争力がなさすぎる。貿易の自由化を契機に大規模化を進め、競争力ある農業をつくり、自給率も向上させる」である。
 言葉にすればもっともらしいが、関税をゼロにしたら、大規模専業稲作農業こそ競争で潰れていき、自分(や親戚一同)の食べる米ぐらいは自分で作ろうという健気な兼業農家しか生き残ることはできないだろう。経済学あるいは農業経済学上の常識なのに、素人ばかりか専門家までも同じようなノーテンキなことをいう人が多いのに驚かされる。たとえ、現在の農地を集積し20~30haに規模拡大しても、そもそもたかがしれているのだ。その200倍の規模のアメリカ、1000倍の規模のオーストラリアにどうやって太刀打ちができるというのだろうか。大量に安い米が輸入され、今の大豆(6%)や菜種(0.04%)や小麦(9%)の自給率並みになるのは明々白々である。
 それならば、今の戸別所得補償を使って農家に、内外の米の価格差分を補償すればいいという人もいる。しかし、3~4兆円にもなる財政負担を国民が許容してくれるのか、私には疑問である。更に楽観的な主張で、米は例外になるかもしれないからとにかくTPP交渉には参加すべしという、かなり乱暴なものまでもが横行している。
<イチゴと米は別の競争力>
 日本の米が、中国の米の20倍の価格で売られている。りんごふじが1個3000円、いちご一粒が200円という具合だ。それでも飛ぶように売れていると、小泉政権のときにまことしやかに言われていた。最近は聞かれなかったが、鹿野農相の地元山形県のサクランボを例に、体力を強化した結果国内でも高級品として売れるようになった、などととってつけたことを言う閣僚も現れた。
 しかし、食べ物は、そこで取れたものをその時に食べる、地産池消・旬産旬消が原則であり、あまりあちこちに輸送することは好ましくない。特に生鮮品は劣化するため、保冷輸送にも無駄なエネルギーが必要になる。
 ましてや、これが米や小麦や大豆なのどの土地利用型の基幹作物には、全くあてはまらないことがわかっていない。

<原発事故で傷ついた日本食品の安全性>
 日本の食べ物はおいしく、安全で、健康的ということがブランドであった。しかし、3月11日の福島第一原発事故でその名声は大きく傷ついてしまった。食品の安全にうるさいEUだけでなく、毒入り餃子、残留農薬野菜等数々の危なげな食材を日本に持ち込んだ中国までもが、輸入もほぼ全面禁止している。放射能検査をした13都県については、全て検査証明をつけ、それ以外の県は、その県で生産されたことの証明書をつけなければ輸入させないという厳しい輸入制限を実施している。
 一方、いつも難癖をつけてくるアメリカは、日本で生産制限を解除した品目を、ほぼそのまま輸入制限解除品目にしている。この点だけは感心する。日本ほど放射能や安全性にうるさい国はないということを知っており、また大した輸入額でもないことから、日本の基準をそのまま認めているのだ。いくら放射能は目に見えず国民が心配しているとはいえ、中国やEUのしていることは厳しすぎると思うが、日本の食べ物の安全神話は、完全に傷つけられてしまった

<日本の米輸出の可能性>
 日本の米の輸出は生産量840万tのたった0.02%しかない。中国は18倍の1.3億tの大消費国で市場としては魅力があり、ジャポニカ米(短粒米)と日本式炊飯器も人気を博している。鹿野農相は、ことのほか米の中国輸出に熱心であり、農相就任前から筒井農林水産副大臣等とともにその推進に当たってきた。大臣就任後も同様で3月11日の震災さえなければ、3月の春分の日をはさんだ連休に、関係都道府県の知事と一緒に中国へ米の輸出の最終打ち合わせに行くことになっていたが、全てキャンセルされた。原発事故はこんなところにも悪影響を与えている。
 また、差別化差別化というが、同じ食べ物、そんなに大きな差があるはずがない。また、同じ気候、同じような土壌・環境さえあれば、同じものを作ることもできる。日本の優れた品種や栽培技術は、どんどん海外に流出しており、現にアメリカやオーストラリアで和牛が生産され、韓国では日本で育種されたイチゴが生産されている。米にしても、アメリカ、オーストラリアではコシヒカリやあきたこまちも作っている。工業製品と同じく、栽培技術もやがて追いつき、価格差は、規模や人件費の違いになってくる。規模の面では、前述したように、アメリカやオーストラリアに太刀打ちできない。関税が撤廃されれば、今は長粒種しか作っていない所でも、すぐ短粒種に転換し、日本向けに輸出してくることは明らかだ。
 だから、日本が超高級米を外国に輸出するなどということは、ニッチ(隙間産業)で考えられても、これを主流としていくとは考えられない。

<中国の金持ちがコシヒカリを食べ、日本の非正規雇用者が外国米を食べる矛盾>
 中国は13億の民、10%の富裕層がいるとしたら1億3千万人、たった1%の超富裕層でも1300万人、それが北京とか上海とかの大都市いるとすれば、確かにそれだけでも魅力的な大市場になる。世界の超高級品が一番売れるのはアメリカで、次が中国であると言われるが、納得せざるを得ない。ところが、我が日本ではそれら高級品はほとんど売れないそうだ。日本の平等社会、社長の給与も新入社員のせいぜい10倍程度ということに起因しており、日本はそういう点では格差の少ないいい国なのである。
 この海外の格差が日本に持ち込まれるなら、稼ぐ人はいいものを食べ、稼げない人は安い食べ物にしかありつけなくなる。つまり、中国人の富裕層が、日本の安全でおいしいコシヒカリを食べ、日本の何百万人もの年収が200万円に満たない非正規雇用者が、東南アジアや中国から輸入された質の悪い米を食べることになるのだ。果たしてこんなことを国策として推進すべきだろうか。

 それよりもやはり食べ物もエネルギーも、なるべく近くて、自分の近くの人たちに提供していく地産地消が基本である。いざという時を考えても地産地消が一番いいということは、3.11の震災にいやというほど教えられたばかりである。
 この期に及んで枝野経産相が再び農業輸出産業論を振りかざし始めた。自由貿易は一つの手段でしかないのに、それこそ目的化してしまい、それにそった社会構造や産業構造にしないとならないという強迫観念にとらわれているのである。あたかも輸出していなければ産業でないというのは、明らかに間違っている。日本はまずは1億2700万人の日本人に質のよい食料を供給することを考えるべきであって、輸出など二の次三の次でよいのだ。



TPPシリーズ8.韓国と日本の大きな違い-11.11.7
http://www.shinohara21.com/blog/archives/2011/11/11117.html
(したたかな韓国、出遅れる日本)
 財界、経産省、外務省はなにかにつけて韓国のFTAを絶賛・推奨し、だから日本はTPPに入らなければいけないと言う。いわゆる「韓国脅威論」である。何を言っているのか、私は理解に苦しむばかりである。百歩譲って韓国を見本とするなら、米等重要品目を例外とするEPA・FTAをEUやアメリカと結べばいいのであって、関税ゼロを前提とするTPPなどは全く方向が違っていることである。
 日本の財界は、韓国の米・EUとのFTA締結という矢継ぎ早の自由貿易への転換に浮足立っている。EUとの関税 自動車10%、薄型液晶14%は大きいかも知れないが、それ以前に韓国には追い越されているのだ。2010年にトヨタは欧州で初めて販売台数で現代に追い抜かれているし、世界最大の市場中国でも現代に及ばない。関税をゼロにすればいいというほど単純ではない。

(貿易依存度のバカ高い韓国)
 それよりも何よりも、日本と韓国の違いは国の大きさである。人口は、日本は、1億2700万人、韓国は、4000万人強、約3分の1である。また、韓国のGDPは10,145億ドルと日本の5分の1強にすぎない。韓国は小さい国内市場だけでは生きていけず、グローバル化が必要なのだ。そして、国民がある程度その考えを受け入れていることだ。
 次に違うのは輸出依存度が、韓国は43%(GDPに占める輸出入総額は82%)なのに対し、日本はわずか11%にしか過ぎない。日本より低いのは、アメリカ(7%)とブラジル(10%)ぐらいしかない。韓国はWTO交渉が停滞する中、日本やアメリカのように国内市場だけで成長できる国ではないことから、2国間のFTAに活路を求めたのだ。
 日本は加工貿易立国であるといわれてきたが、実は違う。日本の成長は確かに一時は輸出が支えたこともあったけれども、基本的には団塊の世代を中心とする内需が支えたのである。これは三種の神器なり、3Cなりを国民がこぞって買い、内需を拡大することによって、日本の産業界を潤わせてきたことを考えると一目瞭然である。日本は幸いなことに、大国になり過ぎたのであり、韓国の5倍のGDP5.5兆ドルの国が輸出拡大を図るとすれば嫌がられるのは当然である。米議会が米韓FTAは許しても日米FTAをおいそれと認めることはあるまい。その延長線上で、私は米議会が日本のTPP入りをすんなりと認めるとは思えない。
 となると、日本もまたぞろ外需すなわち輸出に頼るのではなく、今度こそ内需拡大で日本を活性化していくべきなのだ。それも乗用車とか家電製品といった特定の製造業に偏りすぎず、食品産業や木材産業等の地場産業の振興に努めるとともに、介護、医療、教育といった新しい需要に向けていくしかないのだ。これらの新しい分野にこそ、新しい雇用の場なのに、TPPに入り、介護や医療の分野まで外国に開放せんとするのは、愚かとしかいいようがない。

(韓国の危険な試み)
 韓国は、盧武鉉政権の時の1997年の財政危機を契機に2004年チリとのFTAを皮切りに、通商国家体制に大きく舵を切った。李明博政権はそれを引き継いで加速させている。日本と違って人口は4000万ほどで国内市場は限られている。北朝鮮という危うい隣国を抱えている。そうした中でのやむにやまれない方向転換かもしれないが、非常に危険な試みであると思う。
 EUとのFTAが2011年7月発効、アメリカとのFTA交渉も2007年には米の16品目を除き、牛肉、豚肉等の重要品目の関税撤廃も受け入れ、合意にこぎ着けている。韓国はかなりアメリカに妥協していて、今後のTPPを占う参考になることが多い。例えば、郵政の保険関係では、新商品を販売しないと約束し、特区内での自由診療拡大、営利病院の許可を明文化している。日本が今、何の情報もなくTPPに入ったら、すぐさま同じ要求を突きつけられ、受け入れざるをえなくなる可能性が強い。
 アメリカは外交交渉においては、本当にしつこい勝手な国である。次々と新たな要求を出してくる。2009年1月オバマ大統領は「米韓FTAについて見直しが必要」と発言。韓国は「再交渉はあり得ない」と主張したが、事実上再交渉させられた。その結果、韓国産乗用車に対するアメリカの関税撤廃時期の5年先延ばし、米国産乗用車に対する韓国の安全・環境基準の緩和という妥協を強いられている。日本のTPPに入ればなんとかなるという楽観主義者には、この際限なきアメリカの要求はどう映るのだろうか。

(羨ましく映る韓国をじっくり観察)
 延び延びになっていた米議会の米韓FTA実施法の承認も済み、両国が目指す2012年1月の発効に一歩近づいた。しかし、一方で、韓国の批准となるとそう楽観視できない。韓国内には妥協しすぎの政府に対し、野党は反発を強めている。今まで韓国がどれだけ妥協したか国民には明らかにしていないようだが、やはり、政治は一寸先もよくわからない。
 2011年10月26日のソウル市長選で野党連合が支持した無所属候補朴元淳が当選、一度は農畜産業の追加補償策などで妥協が成立したが、毒素条項(ISSID)すなわち投資家が不利益を受けた際には、相手国を訴えることができることに対し、韓国に不利な「毒まんじゅう」と反発している。やっと危険性に気付き始めた野党民主党は、FTA問題は4月の総選挙で国民の意見を聞いてから処理すべきだと越年論議も辞さない構えとなっている。医療や食品の安全性等について、アメリカの要求を相当のまされたことが明らかになれば、激しい韓国の民衆が大騒ぎしてくる可能性もある。BSE牛肉を危険にだとして小・中学生まで参加して100万人デモをする国なのだ。
 日本は韓国の先行をうらやまし気に見ているが、ことはそう簡単に進みそうにない。やっとTPPの全容に気づいた農業関係者の不安も高まっている。日本は焦ってTPP交渉に入る前に、韓国がどうなるかじっくりと見極める必要がある。

(日本がTPPに現を抜かす間に韓中が接近中?)
 TPP推進論者が、二言目にはアジアの成長を取り込む必要があるというが、TPPは中国も韓国も入っておらず、ASEANの主要国も全く入っていない。ベトナムはあまりの中国進出に恐れをなして、かつてあれだけ痛めつけられたアメリカにすり寄っているにすぎない。他のASEAN諸国は、胡散臭い目で見ているのだ。中国はアメリカへの対抗上TPPを無視、韓国は米韓FTAで精一杯で、今更関税ゼロが原則のTPPなどにかまける余裕はない。
 しかし、中韓二ヶ国は北朝鮮をはさんではいるものの隣国に等しい。普通に考えるならば急接近してもおかしくない。日本は中韓と三ヶ国のFTAについて共同研究中だが、そんな呑気なことをいっておられないかもしれない。もしも、本当にアジアの成長を日本に取り込みたいなら、中韓とこそFTAを締結していくべきなのだ。三ヶ国ともアメリカのように押して押して押しまくり、次々と青天井の要求をしてくるようなえげつない国ではない。お互いの痛みを分かち合える国である。
 受け身の盲目的TPP入りではなく、前向きに東アジアの仲間造りをしていくべきなのだ。韓国は、似た構造の日本とのFTAは難しいが、中国となら補完関係を作れると踏んでいるはずである。日本はむやみやたらにアメリカに追随するのではなく、近くの隣人を大切にしていくべきなのだ。日本は中国をとるかアメリカをとるかの二者択一で、単純にアメリカになびいているようだが、韓国は北朝鮮もあり、アメリカと同盟関係を維持しながら、中国とも接近をすることは間違いない。それが大国の狭間にある小国の生きる唯一の道なのだ。
 日本も韓国にならい、米中両国と平等につきあっていくべきであろう。



TPPシリーズ9.TPPの経済的メリット、デメリット-11.11.8
http://www.shinohara21.com/blog/archives/2011/11/tpp11118.html
<まちまちの関係各省影響計算>
 TPPで各省庁の意見が真っ向から対立したが、TPPの影響試算がまちまちであった。
農林水産省は、TPPに参加した場合、農業で4.1兆円、関連食品産業を合わせると、7.9兆円の損失になり、340万人の雇用が減るという数字を出した。それに対して経産省は、不参加の場合は、20年後に輸送機器と家電と機械工業の大輸出産業でもって、GDPで10.5兆円の減になり、雇用は84.2万人が減ってしまう計算した。内閣府は、TPPに参加した場合、GDPの増加は2.4~3.2兆円、しなければ6~7000億円の減という見積もりを出していた。大きく各省庁の計算が違っている。

<経済的メリットが小さすぎて出せなかった経産省>
 農林水産省の計算は、内外価格差をもとに単純計算しただけのものだが、経産省の試算は、輸出比率の減を誇大に見せようとして、本来TPP不参加とすべき仮定を変えている。

 まず、仮定のごまかしその1が、TPPだけではメリット(あるいはデメリット)が小さすぎるので、わざと日本がEUとも中国ともEPAを締結しなかった場合としているEUも中国もTPPに無関係なのに、この2国を入れなかったら数字が大きくならないからだ。
2番目に韓国との差だが、これまた今の米韓FTA、EU韓FTAでは差が小さすぎるので、わざと中韓FTAが結ばれた場合としている。TPPとFTAの比較もおかしいが、それは譲るとして、締結した米、EUとのFTAでなく、今後どうなるかわからない中国とのFTAも締結し、日本は結ばないとして差を大きくしようとしているのだ。
 3番目が、他の2府省が、今現在で計算しているのに、わざと2020年に日本産品が米国・EU・中国において市場シェアを失うことによる関連産業を含めた影響を計算して過大にみせている。
これはとりも直さず、TPPのGDPへの影響があまりにも小さいために、上記の3つの仮定をせざるを得なかったのだろう。それにしても、仮定がすぎる。経済学者の野口悠紀雄は、TPPによる輸出増はたった0.4%と断じている。こんな数字など、為替レートの変動ですぐ吹っ飛んでしまうことは度々述べたとおりである。

<具体的メリットなし>
 2011年10月24日の経済連携PTで経団連の意見を聞く際に用意されたペーパーは、はっきりいってお粗末だった。たった1枚で、下半分が農政についての提案だった。肝心のTPPがなぜ経団連にとって必要かということは箇条書きで抽象的に書かれていただけであった。TPPに参加しないと日本は世界の孤児になるとか大仰なことを言っているわりには、少しも熱意が感じられなかった。具体的メリットがないのだろう。こんなことで日本社会をぐちゃぐちゃにされてはたまらない。

 推進論者の論調は、新聞の6段ぐらいのインタビュー記事や社説は見つけても、著書がほとんどない。つまりは、一冊の本にするには論理矛盾が多すぎ、また牽強付会にやろうとしてもろくなメリット数値を示せなかったのであり、とても書物にできないからであろう。例えば、大胆な金融緩和によってインフレにし、景気をよくしなければならないといった経済学者、評論家が、明らかにデフレを招くと思われるTPPに賛成するとおかしなことになる。
 また、TPPに参加するかしないかは、私が繰り返し述べているように、多国間構造協議をアメリカの圧力で行うものであり、内容が多岐にわたる。あまりに分野が広く、節度ある学者や評論家はとても適当な推進論をぶてないからだ。

<利益は国民に均霑化せず>
 メリットとして、一つ上げられるのは、TPPにより輸出企業が儲かった場合、それが、トリクルダウンして他のところに転化するということ。ところが、ほとんどそうなっていないのではないか。失われた20年の間も、一時期輸出が伸びて、輸出企業は相当業績が上がっていたはずである。例えば、一部上場のトップ30社ぐらいは、それでもって内部留保を相当溜め込んでいる。輸出企業はぼろもうけしたのだ。しかし、その配当や役員報酬は増えたけれども、従業員の給与は上がっていない。なおかつ、長期的な投資、研究開発のような投資には、お金を向けていない。そして企業合併をくり返し、あるいは余ったお金を外国に投資するなど、日本の成長にはほとんど寄与していないのではないか。TPPに仮に入ったとしてもまた、こういうことを繰り返すことになり、日本国民がメリットを受けるということはそれほどないのではないか。

<検証すべきNAFTA(北米自由貿易協定)後のメキシコ>
 我々は、ここで過去の自由貿易協定の結果を検証してみる必要がある。
地域協定の一つである北米自由貿易協定(NAFTA)が1994年に成立して17年経った。これが一つの典型であるが、アメリカ、カナダ、メキシコはどうなったか。日本のTPP推進派の書物や論壇には一つも登場しない。理由は、少なくともメキシコにとっては惨憺たる結果になっているからだ。
 アメリカからメキシコへのトウモロコシの輸出は3倍に急増した。アメリカの農産物の3分の1は輸出されており、国内補助金がそのまま輸出補助金と同じ役割を果たしている。零細なメキシコ農民はトウモロコシ生産ができなくなり、アメリカからメキシコへの大豆、小麦、豚肉、牛肉等の輸出も急増した。そのため、農地を手放し密入国する者も増え、一旦、米国の多国籍企業の製造業に雇われたものの更に安価な労働力の国に工場が移転され、リーマン・ショック時には50万人が職を失っている
 NAFTAは、結局のところ、独占と集中をもたらしただけで、メキシコには製造業の成長も雇用の拡大もなく、全く逆の結果しか生まなかった。勝者は、メキシコ市場を手にしたアメリカの多国籍企業だけだったのだ。

<数%の関税引き下げよりも為替変動の影響大>
 アメリカはTPPを輸出を倍増する梃子にしようとしているのであって、輸入を増やすつもりはない。そして輸出先として一番期待が持てるのは、現交渉参加8カ国ではなく他ならぬ日本なのだ。オバマ大統領は「巨額の貿易黒字のある国は輸出への不健全な依存をやめ、内需拡大策をとるべきだ」と言っている。
 昨今のドル安の放置(?)も、輸出戦略の一環だ。さらに言えば、今や日本メーカーの自動車などは半分以上(66%)が、アメリカの現地生産で関税は無関係である。アメリカは高関税のうちに現地工場を作らせ、雇用の拡大を確保し、その後にドル安にして、輸出攻勢をかけることを考えているに違いない。

<景気浮揚にはTPPより財政出動が先>
 日本の景気をよくするためには、まず日本のデフレを脱却しなければならない。そのためにやるべきことはなにか。TPPで輸出を増大することではない。TPPで関税ゼロにすると更に安価な輸入が増え、デフレが加速する。正解は、公共投資の拡大なり、大型減税であり、大規模な量的緩和であり、内需振興なのだ。それを今日本は増税しようとし、はたまた、TPPで関税をゼロにしようとしているのである。どこかネジが曲がっている。
 通貨当局日銀と財務当局財務省とが協力し、日銀が国債の買い取り枠を増やし、同時に政府が財政出動と減税をすれば、日本のデフレを終わらせることができる。そうすればTPPによる輸出に依存しなくて済む日本ができ上がるはずである。経済界はなぜこの声を上げないのだろうか。
 日本の経済の活性化には、やはり国内経済の需要を拡大し、成長路線に繋げることであり、対外的に見れば円安にすることである。長期的には、それによって税が増え、名目GDPも成長し、財政が健全化することになるのではないか。このことを忘れてTPPだけに固執し、日本の社会システムを変え、またまた混乱させるというのは、金融財政政策として賛成できない。


*因みに、当方は篠原議員の農水副大臣時代の原発事故以後の農水省としての対応の不備や遅れ、暫定基準値の問題などに関しては非常に不満を持っている。が、今このTPPに関しては多く賛同する。当時の上司にあたる元農水大臣の山田正彦議員は金子勝氏曰く、息子さんから最近肝臓移植を受けたばかり(今年8月下旬)の身にも関わらず、命をかけてこのTPPに反対している。それを目の前にして篠原議員も頑張っておられると察する。


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